労基法26条によって支払いが義務づけられている休業手当の額は、休業1日につき、
平均賃金の100分の60以上となります。
ここでいう平均賃金とは、労基法12条で定められている平均賃金の事であり、給与の日割り額とは異なります。
たとえば、日給1万円の労働者の休業手当が6000円となるわけではありません。
具体的な計算方法は①のとおりです。
① 原則の算定方法
平均賃金を算定すべき事由の発生した日(休業日)以前3か月間にその労働者に対して、
支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいいます。
賃金締切日がある場合は、直前の賃金締切日から3ヶ月遡ります。
平均賃金=事由発生日以前3か月間の賃金総額/事由発生日以前3か月間の総日数
例 賃金締切日(毎月20日)、平均賃金の算定事由発生日(6月10日)のとき
5月分(4/21~5/20) 基本給20万円、通勤手当 1万円
4月分(3/21~4・20) 基本給20万円、通勤手当1万円、残業手当2万円
3月分 (2/21~3/20) 基本給20万円、通勤手当1万円、残業手当1万円
平均賃金=(21万+23万+22万)/30日+31日+28日)≒7,415円73銭
※円未満の端数が生じる場合
平均賃金については、実際の計算で端数(小数点第3位以下)は切り捨て、上記の例では、休業手当は=7,415円73銭×0.6×休業手当が必要な日数 となる。
実際の支払額で円未満の端数が生じた場合は、「50銭未満を切り捨て、50銭以上1 円未満を1円に切り上げ」て端数処理をおこなう。
➁ 最低保障額について
賃金の一部または全部が日給制、時給制、出来高払い制、等の場合は最低保障に関する算定方法が定められています。
最低保障額=事由発生日以前3ヶ月間の総賃金/事由発生日以前3か月間の実労働日数×0.6
①の原則の例による算定方法と➁の算定方法で求めた額のいずれか高い方を平均賃金として用います。
➂ 休業手当と休業補償の違い
休業手当と混同しやすいものとして、「休業補償」があります。
休業補償は労基法76条で定められている、労働者が業務上のケガあるいは病気による療養のために働けなくなった期間について受けられる給付金のことです。
通常は会社が加入する労働者災害補償法(労災保険法)に基づい手労働基準監督署に請求して受けられる給付です。
④ 「雇用調整助成金」の申請をお手伝いします。お問い合わせは下記まで
ケーキのフィギア(洋菓子マッターホーンにて)
企業実務2020.3参照 社会保険労務士 太田美代子090-4191-5559
労働基準法26条は「使用者の責に帰すべき事由」の休業の場合、会社は平均賃金の6割以上を休業手当として、従業員に支払う義務があると定めている。
逆に使用者に責がなく、やむを得ないものと判断されれば、休業手当を支払う義務がなくなる。
しかし、緊急事態宣言自体、強制力がなく、これだけをもって休業はやむを得ないとは言えない。
加藤勝信厚労相は、一律に休業手当の支払い義務がなくなるものいではない。総合的に
判断する必要がある。と述べた。
アルプスの少女ハイジ(東三河県庁 売店にて)
厚労省は法的な支払い義務がなくても、休業手当を支給する企業には、「雇用調整助成金」を出す方針。
厚労省は10日、申請書類の記載項目を半減、申請から支給までの期間も現状の2ヵ月から1ヶ月に早めると発表した。
制度の使い勝手を良くすることで、企業が積極的に休業手当を支給するようにしたい考えだ。
2020.4.11 日経新聞より、社会保険労務士 太田美代子(090-4191-5559)